Vision

Art Collaboration Kyoto 実行委員会 設立趣意書

京都の文化芸術は、古くから人々の暮らしや産業と結びつきながら、さまざまな経済社会活動の基盤となって発展してきました。長い歴史の中で蓄積された有形・無形の文化は、今もなお国内外の人々を引き付ける魅力的な資源となっています。このような地域性に基づき、京都府では、新たな文化創造を促す施策として、各地域でのアーティスト・イン・レジデンスや、若手作家主体のアートイベント、新進気鋭の作家を顕彰し紹介する選抜展などを実施し、行政による作家支援のあり方を模索してきました。

しかし、作家が京都に拠点を置きながらキャリアアップを望むには、制作活動に専念できる環境がいまだ十分に整っていないことが、課題として浮上してきました。京都には多くの美術系大学があり、各大学は全国から優れた学生を集めるとともに、これまでにも国際的に活躍する作家を多数輩出してきました。このように美術の教育や研究に関しては京都は恵まれた環境ですが、作家の生活を支えられるほどには美術産業が発達しておらず、より良い環境を求めて府外や国外に流出する作家が少なくないのが実情です。

その一方で、京都において現代美術を受容する土壌は、様々な美術関係者らの尽力により次第に育ちつつあります。このポテンシャルを作家に対する支援に繋げるためには、これまでのような文化芸術そのものの振興にとどまらない領域横断的な視点からの施策として、現代美術の「制作・発表・流通・評価」の循環を促すための手立てが必要です。とりわけ、作品の発表と流通に大きく関与する美術市場を活性化させることで、価値ある作品を社会に残し、作家の評価を高めていくことが可能となるでしょう。

民間の現代美術ギャラリーは、展覧会の開催や海外のアートフェアへの出展などを通じて、優れた作家を育成し国内外に発信することにより、現代美術の普及と美術市場の開拓に貢献してきました。各ギャラリーが独自の努力で築いてきた世界の美術関係者とのネットワークは、日本の現代美術界にとって大変貴重な財産です。

このような現状において、美術市場の拡大とそれを通じた作家支援を実現するためには、共通の課題認識を持つ民間と行政が協働し、現代の京都にふさわしい事業を共に考え実行していくことが必要です。そこでこの度、民間と行政が手を携えて、現代美術の新しい枠組みのあり方を探る実験的プロジェクトを計画する中で、有識者との議論を通じ、「Art Collaboration Kyoto」の開催を企画しました。テーマとして掲げた「Collaboration(協働)」は、民間と行政、日本と海外、美術とその他の領域など、様々な協働の可能性を探るための指針を示しています。具体的には、京都を舞台に、作家、ギャラリスト、コレクター、キュレーター、批評家、研究者など、国内外の現代美術に関わる人々が一堂に会する、現代美術の展示と販売を核としたプログラムを実施します。そして、京都ならびに日本の美術市場を活性化させることで、美術と経済が連動して持続的に発展する有機的循環を促し、作家の支援ならびに地域への定着を目指すものです。

以上のような展望により、京都あるいは日本における様々な協働の可能性を探りながら、現代美術の発信と流通の場としてのアートプログラムを実現するため、Art Collaboration Kyoto実行委員会を設立します。